卒業式の告白を叶えたい元教え子に、こじらせ先生は溺愛される~再会は深愛の始まり
【迫られる選択】
年末は2人で大掃除し、キッチンで背伸びしてもあと1歩手が届かず、苦戦していると、
「抱っこしようか」
そう言って、耀が私を抱きかかえた。
「ありがとう」
私は、手を伸ばして掃除しようと思うけど、抱っこされてだと、やりずらい。
「耀。せっかくだけど、椅子に乗るよ」
「うん。あのさぁ・・・奈菜を抱っこするの、何かキュンとするんだよね。ちょっと抱きついて」
「こぉ?」
私が耀の首の後ろに腕を回して抱きつくと、
「うわぁっ、何か凄く幸せ」
「もう、遊んでないで、掃除するよ」
「ねぇ、キスして」
「もう、終わってから。いつも片付けしてて、途中で終わっちゃうんだから」
「ねぇ、お願い」
おねだりする目で見上げる耀に負けて、
「もぉ、分かったよ」
そう言って、軽くキスをした。
「やばい・・・体中に幸せが駆け巡るこの感覚・・・ねぇ、もう1回。お願い」
「だーめっ!掃除終わらせて、買い物行かないと。椅子持ってくるから、降ろして」
「いくら奈菜のお願いでも、それは聞けないよ。だって奈菜が可愛いんだから、仕方ないよね」
「あっ、掃除・・・」
私の言葉に耳を傾けることなく、そのまま、ベッドに運ばれる。
休みに入ってから、事あるごとに愛されているような気がする・・・

1月に入ると、受験を控えてる子達は、集中できるように図書館に行ったり、自宅学習をしていて、分からないところを纏めて教えて欲しいと来ることが多かった。
そうなると、受験前の子供達に時間を裂くことが多くなる。

ある日、お店に親御さんが私を訪ねて来た。
「奈菜先生、ちょっといいですか?」
「はい・・・」
「あの、うちの子から、奈菜先生は、受験勉強をしている子達を贔屓しているって聞いたものですから。子供の言うことと思ってましたが、気になりまして」
「いえ、私はそんな気持ちでは接していません。皆、公平かつ平等に、接しています」
「そうですよね。ただ、子供はそう感じているようでして。ここに来てから家でも勉強するようになって、感謝してます。ただ、うちの子にも、もっと声を掛けてあげて欲しいんです」
「はい・・・気をつけます」
最近、親御さん達が、喫茶店に来て、私を問うことが度々あった。
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