転生したらエルフの幼女でした。前世と同じように過ごしているだけなのに頑張り過ぎだと言われ、神童と呼ばれています。人間の国で王子の家庭教師をやらされる事になったけど、お菓子が美味しいので頑張ります。

第11話 挨拶

 学園長さんについて行き、右へ左へ……と進んで行くと、大きな扉の前で学園長さんが足を止める。

「ソフィア様。では、この中へお願いします」
「わかりました。けど、ソフィア様っていうのはちょっと……」
「では……ソフィアさんとお呼びしますね。私の後について来て下さい」

 それならまぁいいか……と思いながら、言われた通り扉の中へ。
 中はとても大きなホールになっていて、前の方にはステージもあり、日本の体育館みたいだ。
 そのステージみたいになっている場所へ上がると、大きな椅子が置いてあって、これに座って待っていて欲しいと言われた。
 変な所で先生を紹介するんだなと思いながらも、言われた通りに座り……フカフカだぁ!
 とても座り心地が良くて、周囲が薄暗い事もあり、気付いた時にはウトウトしていて……何が起こったのか、突然明るくなった。

「……あれって、今朝の空を飛んできたエルフだよな?」
「寝てるー! 可愛いー!」
「めちゃくちゃ小さいけど……エルフの子供なのか?」

 な、何っ!? 何なのっ!?
 いつの間にか、ステージの下に同じ服を着た人たちが並んでいて、私を見ながらザワザワと何か話している。
 物凄く人数が多いけど、この人たちが全員魔法学校の先生……って、多過ぎだし、子供みたいな人もいるよね!?
 ……待って。もしかして紹介って、先生を紹介するんじゃなくて、私を紹介するのっ!?
 気付いた時にはもう遅く、ステージの中央に立っていた学校長が喋り始めた。

「生徒諸君、おはよう! 以前より皆に伝えていた、エルフの長老のお孫さんがこの学校へ来てくれた! 見た目は幼く見えるが、知っての通りエルフは長寿で、かつ我々人間とは比べ物にならない程の魔力を体内に有している。おそらく、我々教師陣よりも優れた魔法を使う事が出来るであろう」

 待って! エルフが人間より凄い魔法が使えるのって、長老さんとかの事だから!
 私は初級魔法でも暴走させちゃうし、中級魔法が精一杯だから!
 めちゃくちゃハードルを上げないでっ!

「エルフが入学してくれたのは、私の祖父がこの魔法学校を創設して以来、初めての事である! 生徒も教師陣も、このまたとない貴重な機会に是非本物のエルフの魔法を見せてもらい、大いに学んでもらいたい!」

 いやいやいや! 私がここへ勉強しに来たのっ!
 私は魔力のコントロールが出来ないから、魔法を使うととんでもない事になっちゃうのよっ!
 学校長の言葉を聞いて、生徒たちは歓喜の声を上げているし……どうするのよっ!

「それでは、ソフィアさん。一言、挨拶をお願いします……あ、わざわざ言わなくても感じ取っているかと思いますが、このステージ上には拡声魔法を掛けているので、普通に話していただければ全員に聞こえますので」

 そんな便利な魔法があるのっ!?
 というか、魔法の効果を感じ取ったりなんて出来ないからっ!
 絶対に長老の魔法のレベルと同じだと思っているでしょ!
 私は空を飛んだり、瞬間移動したりなんて出来ないんだからっ!
 今すぐ学園長に詰め寄りたい気持ちを抑えながらも、大勢の全校生徒の前で醜態を晒す訳にもいかず、ひとまず立ち上がって、ステージの中央へ。

「みなさん、はじめまして! ご紹介に預かりました、エルフの長老の孫、ソフィアと申ちまつ」
「……可愛いー!」
「頑張れー!」

 うぅ……普通に噛んでしまった。
 塾の講師をしていたから、人前で話す事なんて慣れているのに。

「……こほん。学園長からは、エルフだからと仰々しい話がありましたが、私も皆さんと同じ学生であり、生徒です。これから一緒に魔法の勉強をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします」

 ペコリとお辞儀をして、舞台袖へ。
 内心ダッシュで隠れたいくらいの気持ちだったりするけど、恥の上塗りとならないように、悠然とゆっくりと歩いていく。
 ……よし。もう見えないはずだ。
 この朝礼みたいなのが終わるまでに、どんな文句を言おうか考えておこうと思っていたら、

「では、臨時の学校集会は以上で終了とする。各自、教室へ戻って授業の準備をするように」

 わざわざ私の挨拶の為だけに、全員集めたのっ!?
 そんな事しなくて良いわよぉぉぉっ!
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