君のために

プロローグ

教室がいつものように休憩時間になるとザワザワと皆友達の席に集まり話し始める。

私はというと高二にして最速ぼっちで夏休みに近い7月に前半になっても未だ友達が出来ずお昼休みをボソボソと人目のつかない場所で食べてなんとか耐え忍んでいる。

できれば高一の頃に戻りたい

何故ならあの時はアニメやマンガなどいわゆるオタク友達がいたおかげでなんとか生きながらえていたが今回のクラスは外れくじを引いてしまった、何故なら、此処には世に言うスクールカーストの上位に立つ陽キャが大半を占めているのだ、確かに私みたいなオタクの子達もいるけど男子しかそういう子がいないので話しかけづらいのだ。

あーどうしたものかと頭を抱えながら窓側の席に目をやると奥の席の方で1人だけ誰とも話さず頬丈に手を当てながら窓の外を眺める1人の男子がいた。

「、、、藤森君だっけ確か」

ボソリと彼の背中を見つめながらそんな事を呟いていた。

2年C組

同じクラスの藤森渚君

何故そんなにも彼のことを知っているのかと言われるとある理由がある。

遡ること約3か月前

私はその日も言わずと知れたぼっち生活を続けていた、そんな昼休みに陽キャである女子達はいつものように中心の席に群がって話していた。

私は昼寝をしているフリをしながら顔を突っ伏した。

「ねぇねぇ聞いた?」

寝ているフリをしていると突然そんな声が耳に聞こえ私はさらに聞き耳を立て、その話を聞くことにした。

「いっつも教室の隅に居て髪の毛長い男子いるじゃん。」

「ん?ああ藤木君ね?」

「そうその子」

「いや同クラなんだし名前くらいおぼえとけよ」

「いやあんまり話さないし陰気臭いからちょっと近づくの勇気いるだよねぇこう空気がきまづくなっちゃうていう感じ」

「いやあんた最低、、でも最後のはなんとなくわかるわ。」

そんな事を大声で笑いながら話すので聞き耳を立てていた耳がキーンと言う耳鳴りで包まれイライラと心の中で加速する。

まあ聞いているこっちも悪いがそもそもそんな同じクラスの子の話だけでよくそこまで盛り上がれるなと思う。

加えてその日は藤木君が休みっていうのもあったんだと思う。

そして女子達が話の本題に入る

「それでさ、、噂によると、、なんとなんとですよ」

「藤木君のお父さんって会社の社長やっててコレ(金)沢山持ってるらしいんですよ、、しかも、、藤木君実はああ見えて結構イケメンって噂ですよ」

「、、まじか玉の輿じゃん」

とまぁ噂なだけあってお金関係についてはそこまで触れることもなく話は終わっていた。

しかし前髪で顔を隠している藤木君は確かにイケメンという噂が濃厚らしい。

まぁそーゆう噂は置いておいて空の向こうを流れる今の彼は少し背中が寂しく感じる。

言うなれば私と同じ現状で誰とも話せないこの孤独感がより一層心を抉ってくる。

なんだが、、ちょっとづつ心が壊れていっているような気がする

その時だった

彼が視線に気付いたのがチラリと私の方は振り返り目と目が合ってしまう

私は勢いよく顔を反対側に向けて顔が見えないようにした

するとカタッと椅子から立った音が聞こえ足音も少しづつだが私の方へ近づいてくる。

なんとなく悟った私は石のように固まってしまい冷汗をダラダラ垂らしながら壁と目を合わせる。

振り向いたら終わりだとまさにイタチごっこのようだ。

スタスタとあと何歩かで私の席に着くと分かり目をぎゅっと瞑って何かを覚悟した

その時だった

キーンコーンカーンコーンと学校のチャイムがなり皆席に戻っていき後ろから聞こえてきた足音も一旦止まりそのまま引き返していった。

ホッと胸を撫で下ろして振り向くとまたいつものように頬丈を支えながら次の授業の話を聞いている藤木君の姿があり彼がいつも通りであることにホッとした。

あのチャイムがなければ私はどうなっていたのか、、まさかキモいとか変態とか思われちゃったかもしれない。

そんな不安を頭にモヤモヤと抱えながら結局その日は何事もなく放課後を迎えた。

あの後休憩時間になるたびに嵐の如く友達いる隣の教室に行き友達と話してなんとか耐え忍んでいたのだ。

その後流石に言い逃れが出来ないと彼に誤解を解くべく放課後残ることにした。

少しづつ人は減っていきついに藤木君と2人になってしまった

放課後2人でとか言う青春みたいな甘酸っぱい思いもなくただひたすらにイヤホンをしながら音ゲーをして謝るタイミングを見計らっていた。
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