四月のきみが笑うから。

 電車に飛び乗り、吊り革に捕まる。窓からのぞく空は晴天。

 どこまでも晴れ晴れとした、美しい眺めだった。


(先輩はきっとあの場所にいる)


 確証なんてないけれど、確信していた。

 わたしが目指す先に、きっと先輩はいる。


 降車し、電車を見送ることすらしないまま夢中で駆けだす。



 徐々に息が上がるけれど、止まることなく足を動かした。

 夢で何度も見た青い世界へと、必死に走る。


 この先に、彼ら(・・)の思い出の場所に、先輩はいる。


 海と同じほど真っ青な空が、ただまっすぐな想いを包み込むように広がっていた。
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