四月のきみが笑うから。

「そのときは、私が瑠胡ちゃんの味方になるから。きっと、私たちならこのつらさを分かち合えると思うんだ」

「古園さん……」

「だからね、瑠胡ちゃん。私の前では我慢しなくていいんだよ」


 あたたかい涙が込み上げてきて、ハンカチで目元を押さえる。

 すべてを包み込むような優しさを向けてくれる彼女。


 緋夏たちの話とは全然違う。
 ぶりっ子でも、調子に乗っているわけでもない。心から、こんなにも優しい人だ。

 それなのに、噂で勝手に決めつけて、見たこともないのに同調して。


 わたしはなんてひどいやつなんだろう。

 それでいて、どうしてこの子とは何もかもが正反対なのだろう。


「私、琴亜。そう呼んでくれると嬉しいな」


 わたしにその名前を呼ぶ資格があるのだろうか。
 罪悪感に心を痛めつつ、宝石を埋め込んだような目をこちらに向ける彼女の圧にあっさりと敗北してしまう。


「……ありがとう、琴亜ちゃん」


 小さく呟くと、驚いた顔をした彼女は、それからふわりと嬉しそうに笑った。

 守りたくなるような、無邪気な笑顔だった。


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