四月のきみが笑うから。
*
「塾の回数、増やしたから」
お母さんからそんな言葉をかけられたのは、朧月を見た三日後のことだった。
あまりに突然のことで、頭が真っ白になる。
「増やしたって、どういうこと?」
「言葉通り、そのままよ。週三回から五回にしただけ。部活もやってないし、それくらいできるでしょ」
「……そんな」
どうして勝手に決めてしまうの。"それくらい"って、そんなに軽々しく言わないで。
わたしにはわたしのペースがあって、それをかき乱されることがいちばん嫌いなのに。
「わたし、そんなにいけないよ」
言葉が口をつく。
驚いたように目を丸くするお母さんは、「瑠胡が言い返すなんて珍しいわね」と少しの怒りを言葉に混ぜた。
自分でもびっくりした。
今までのわたしは、すべてに従って生きてきた。
親の言うことは絶対。
そんな暗黙のルールがあったから。
「どうしていけないの? 何か部活でもする気になった?」
「そういうわけじゃない、けど」
首を振った途端、お母さんの顔が険しくなる。
まるで獲物を見るような、心の奥を見透かすような、鋭く冷たいものに変わった。
「塾の回数、増やしたから」
お母さんからそんな言葉をかけられたのは、朧月を見た三日後のことだった。
あまりに突然のことで、頭が真っ白になる。
「増やしたって、どういうこと?」
「言葉通り、そのままよ。週三回から五回にしただけ。部活もやってないし、それくらいできるでしょ」
「……そんな」
どうして勝手に決めてしまうの。"それくらい"って、そんなに軽々しく言わないで。
わたしにはわたしのペースがあって、それをかき乱されることがいちばん嫌いなのに。
「わたし、そんなにいけないよ」
言葉が口をつく。
驚いたように目を丸くするお母さんは、「瑠胡が言い返すなんて珍しいわね」と少しの怒りを言葉に混ぜた。
自分でもびっくりした。
今までのわたしは、すべてに従って生きてきた。
親の言うことは絶対。
そんな暗黙のルールがあったから。
「どうしていけないの? 何か部活でもする気になった?」
「そういうわけじゃない、けど」
首を振った途端、お母さんの顔が険しくなる。
まるで獲物を見るような、心の奥を見透かすような、鋭く冷たいものに変わった。