何度時間を戻しても婚約破棄を言い渡す婚約者の愛を諦めて最後に時間を戻したら、何故か溺愛されました
リアーナの入学
学園に入学して一年が経った。

あの日から、ロイド様とはあまり話せていない。

そして、今日はリアーナが入学してくる日である。

入学式には在校生も参列する。

しかし入学式が始まっても、新入生が多くてリアーナの姿を見つけることが出来ない。

「新入生代表挨拶、リアーナ・フィオール」

その言葉に私はパッと顔を上げ、壇上を確認する。

そこには、久しぶりに顔を見ることが出来たリアーナが立っていた。


「見て、新入生代表挨拶は聖女様よ」

「慈悲深く、人格者であるそうじゃないか」

「最近は領地を回って、街の人と交流も盛んに行っていらっしゃるとか」


リアーナの噂を口々に生徒たちが話しだす。

しかし、リアーナを「無能の聖女」と呼ぶものは一人もいなかった。

リアーナは私が入学する前にこう述べた。

「一年後、私も学園へ入学しますわ。それまでに、私は地盤を固めるの」と。

それはきっと私への怒りから来るものだっただろう。

それでも、リアーナは自分で「無能の聖女」と呼ばれることを弾き飛ばした。

どれほど、この一年努力したのだろう。
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