腹黒王子の甘い寵愛。
「ん……?ちがうよ、僕の婚約者じゃない」

「えっ?じゃ、じゃあ誰の?」


勘違いしちゃった瑠奈もとてつもなく可愛い……。

さりげなく手をぎゅっと握って、口を開く。



「……瑠奈の、だよ」

「えっ……?も、もももっ……もしかして!」

「もしかして?」


まさか、勘付いてた?それで、喜んでるの……?


「朔、くんが、相手……?」

「っ……!!」


現実はちがうとわかっていても、この一瞬の幻想に惑わされて心が震える。


「う、嬉しいけど……ちがうんだ」

「えっ……ええ!?さ、朔くん私のこと嫌いになっちゃった……?」

「そうじゃなくて……」


腕で口元を覆う。

瑠奈が必死に覗き込んで来てくれるのが可愛くて、たまらない。


< 85 / 140 >

この作品をシェア

pagetop