冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


……ああ、どうしよう。

わたし、今、この体温を“愛しい”って思ってしまった。


普通の人間とは違う、血の通っていないような冷たい体温に、心から安堵してしまっている。



「りと、くん……っ」


夢の中で、彼に対してわたしが呼んでいた呼び名。

意識せずとも、その名が口から零れた。


背後で、飛鳥馬様が驚いたように息を呑み、目を見張る様子が伝わってくる。



「“麗仁”って呼んだら助けてあげるって言おうとしたのに、先に言われちゃあねえ……。心の準備できねぇっつうの」


そう言って、わたしの腰のあたりに両腕を巻きつける飛鳥馬様。

こつん、と顎をわたしの肩に乗せた飛鳥馬様は、すっと細めた瞳を、成瀬くんの方へ投げた。


突然の登場に、何が何だか分からずフリーズしていた成瀬くんが、はっとした表情をする。



「……ねえ、お前。その汚ねぇ手で何に触れようとしてた?」

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