冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


麗仁くんには、そんなわたしがお見通しのようで。

やっぱりつくづく、勝てないなって思う。



「そう言う麗仁くんだって、不安なくせに」

「……、うん。そうだね」


わたしの小言を肯定した麗仁くん。

悲しげに伏せられた睫毛が怖いくらいに美しい。


「いつか強くなれるかな……」


そんな風に弱音を吐く麗仁くんは、やっぱりちょっとだけ皇帝らしくない。


だけど、わたしはそんな人間味のある麗仁くんだから、好きになったんだと思うよ。


「麗仁くんはありのままでいい。そのまんまの姿が素敵なの」

「え、あやちゃん……?急にどうしたの」


ふはっと笑った麗仁くんの目には、少なからずだけど動揺の色があった。

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