絶交ゲーム
ようやく見つけた欠点
もう無理なのかもしれない。
弥生と結を絶交させるなんて、できないのかもしれない。

そう、思っていたときだった。
昼休憩が終わる頃、詩子が慌てた様子で近づいてきた。


「そんなに息を切らしてどうしたの?」


聞くと詩子は隣のクラスの友だちのところにいたのだと言う。
そのクラスには弥生と結と同じ中学出身の子が1人でいて、偶然話をきく機会があったらしい。

私は詩子の手を握りしめてすぐに廊下へ出た。
もうすぐ午後からの授業が始まるけれど、その話はじっくりと聞きたかった。

ふたりで渡り廊下までやってきたとき5時間目の開始を告げるチャイムが鳴り始めた。
5時間目は数学だけど、前回の小テストで高得点を取っているから1回くらいサボっても文句は言われないはずだ。


「どんな話が聞けたの?」


聞くと、詩子は自信満々に胸を反らせて微笑んだ。
よほどいい話を聞き出すことができたんだろう。


「聞きたい?」

「もったいつけないでよ」


早く知りたくて仕方ない。
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