絶交ゲーム
☆☆☆

逸る気持ちを抑えながら学校へ向かうと、校門前で詩子と会った。
詩子はいつもどおりの様子で私に近づいてくる。
でも、今日はいつもよりも10分も早い時間だった。


「雛、今日は早めに来てって連絡があったけど、なにかあったの?」


詩子が合流すると同時にそう質問してきたので私は小さく頷いた。


「メッセージで聞くこともできたのに」

「ごめん。それはちょっと」


こそこそと悪いことをしている気分になったから、できるだけやりとりを残しておきたくなかったのだ。
このアプリについても、他の誰かに知られたくなかった。

自分たちの間だけでこっそり使っていれば、プレイするライバルだっていないままで住むんだから。
私は怪訝そうな顔をしている詩子を連れて1階の女子トイレに入った。

ここは普段あまり生徒が使わないので、今も誰の姿もなかった。


「それで、話ってなに?」


トイレまで連れて来られた詩子はなにかあるのだと感じて、真剣な表情になっている。
私は深呼吸をしてからスマホを取り出した。
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