絶交ゲーム
☆☆☆

洋子はあの渡り廊下で1人泣いていた。
うずくまり、肩を震わせて鼻をすすり上げている。


「洋子、大丈夫?」


後ろから声をかけると、その肩がビクリと跳ねて顔がゆるゆるとこちらへ向いた。
右手にハンカチを握りしめていて、それが鼻先を包み込んでいる。


「大丈夫だよ」


泣き声でそう言われても説得力はない。
私は洋子の隣にしゃがみこんだ。


「玲香、ひどいね」


それについて洋子はなにも言わなかった。
無言で私から視線をそらせる。


「ごめんね、私が昨日余計なことを伝えてからぎくしゃくしてきたんだよね?」


そう言うと洋子が左右に首を振った。


「玲香は元々本当に男好きだったの。それに雛は私のことを心配してくれたから、教えてくれたんでしょう?」


私はゆっくりと頷く。
すると洋子はかすかに笑った。
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