darkness

泣け




え?

陸が裕平くんを知ってる?


どうして?






「昨日、喫茶店に居た。立花って人。」



『………なにか話したの?』


「あさ美のこと心配してたよ。最近顔見てないって。」





裕平くん……………





「あさ美………その人のこと好きなんだろ?」


『……え?』



陸はあぐらをかき、地面の草をひっぱったりしながら
私の顔を見ずに言う。


「俺、ずっとあさ美のことちっちぇー頃から見てきたんだぜ?分かるよそんくらい。あさ美が受験勉強始めてからだもん……なんか……………明るくなったの。」




幼なじみの陸には何でもお見通しだった。




「言わなくていいの?あさ美の気持ち。」



陸はようやく私の顔を見て、手を止めた。

『……言わないよ…。絵里の婚約者だもん。裕平くんとは世界が違いすぎる。だから………もう会いたくないの。会ったら辛くなるから…………』





「だから喫茶店にも行ってないんだな。」




頷くとその振動が瞳に伝わり、また涙が溢れた。



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