darkness

公平



次の日の放課後

陸は友達と約束があるみたいで、私は一人で帰ろうと教室を出る。




帰る前にトイレに寄っていこうと思い、そこへ向かうと

トイレの水道で絵里と出くわした。





絵里は私と目が合うと一瞬驚いたように動きを止め

また水道に顔を下げた。





「…………………うっ……」






絵里は吐いているようだった。


『…だ……大丈夫…?』


なぜその一言が出たのかは分からない。

細い身体を流し台で必死に支え何度も波打つように吐いていた。

その姿を見て無意識に命令された言葉が口から出たのだ。





「…………なによ……ほっといてよ…」




風邪や妊娠が原因の吐き気とは思えなかった。


なぜなら私も同じ種類の吐き気に何度も襲われたことがあるから。





イジメられた時

孤独だった時

寂しさに耐えられない時



必ずそのストレスが身体の中を崩壊して

吐き気を起こした。




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