darkness
第5章

さだめ



清々しい4月の朝の空気は、新しい高校生活をスタートする私の背中を押してくれているようだ。




朝起きて、お母さんに挨拶をした私は

いつも通りに綾子おばさんと朝食をとり



新しい制服に身を包んで家を出た。





ブレザーのポケットには綾子おばさんからもらった携帯電話。


嬉しそうにストラップが顔を出して揺れている。






大好きな裕平くんからもらったストラップ。



私の宝物。






駅のホームで陸を見つけ声をかける。


『おはよ、陸。』


「お〜あさ美、おはよう。制服…似合ってんじゃん。」




陸が笑いかけてくれると昔から一緒にいる安心感なのか、新しい場所へ向かう緊張も少し和らぎホッとする。


『陸も似合ってるよ。てゆうか陸、背伸びたね〜』



私が背伸びして陸の髪をくしゃくしゃっと触ると、


陸は照れた様子で避ける。




「同じ高校で良かった。俺、嬉しいよ。」



陸は噛み締めるように微笑んで、

到着した電車に乗り込む。



私も一緒になって電車に乗り、



新しい場所へと向かった。
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