地味な私ですが、お日様みたいなヴァンパイアの花嫁になりました

当惑する私の手に、西海くんが食むように唇をつけた。

じん、と傷口がうずく。

かすかに舌を這われた……?


「や……!」

「いつも長い髪を下ろしているのも同じ理由だろ? ……無理もないよな。こんなにいい味がするんじゃ、香りだけで惹きつけてしまう」


陶酔するように低い声で呟いて、西海くんは私の傷口に唇をつけて、チロリと舌をのぞかせる。


「や、はな、して」


こそばゆくてドキドキする。

唇を寄せたままへ西海くんが私をじっと見つめた。

すると胸の奥までこそばゆくなって、甘くうずく。


綺麗で魅惑的なその顔。

クラスで見るいつもの西海くんとは、全然ちがう。

でも、きっとこれが、彼の本当の――。


私の手をうやうやしく持ったまま、西海くんのもう片方の手が、私のあごに触れた。


「……まさか、こんなに近くにいるとは思わなかった。これは運命って思ってしまって、いいんだよな……」


西海くん……?


魅惑的な茶色の瞳が近づいてくる。

身体中が麻痺するような感覚に襲われる私に、西海くんは小さな声で、でもはっきりと宣告した。


「『ヴァンパイアの花嫁』。おまえは、俺のものだ」





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