じれ恋

隆起した筋肉、縦に入った腹筋のスジ、あったかそうな体温。


私とは全く違う、男の人のカラダ。 


なんだか無性に触れて確かめたくて、感じたくなって。


魔法にかけられたように手を伸ばした。


私おかしくなっちゃったのかな?


触れた紺炉の左胸は熱く、そしてその鼓動はとても速かった。


「先生どうですか?俺すごくドキドキしてんですけど、どっか悪いんですかね?」


まるでお医者さんごっこをしているように聞いてくる。


手を重ねられ、紺炉の熱に包まれた。


ここまで思わせぶりな態度をとってくるのに、私の想いには頑なに口を噤むのだ。


今までがそうだった。


こんな最低男、嫌いになれればどんなに楽だろう。


〝恋の病に薬無し〟なんてことわざがあるけれど、まさにこれはその通りなのかもしれない——。
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