君と、最初で最後の告白を。





「ねぇ彩空、今夜花火大会だって!」





夏休み、私は幼馴染兼彼氏の
夏羽 彩空(ナツハ サク)の家に来ていた。


彩空も私も、告白もしてないけど、
なんとなく両想いなんだろうなぁと
お互い感じ取り、

いつの間にか校内人気No.1
公認カップルだ。





「あー…ごめん鈴花、
今年も用事あって行けない」






申し訳なさそうな表情を見せながら、
彩空はそう言い、私の頭を撫でる。


……去年も、一緒に行ってくれなかった。


どうして……?
もしかして、冷められちゃったのかな。


ううん、でも、
普段のデートは大抵彩空から誘ってくれる。


なぜか花火大会だけ断られるのは、
どうしてなんだろう。



そこまで考えて、ふと思った。





あれ……でも、
一昨年までは一緒に行ってたような……。



その時、ズキンッと頭に激痛が走った。






「いっ……たい……」

「鈴花? 大丈夫か?
熱中症かもしれないから、寝てろ」

「でも……せっかく遊びに来たのに」

「いーよそんなん。また明日も来ればいい」

「……ありがとう。私が起きるまで
私から離れちゃだめだよ…?」






彩空に膝枕してもらいながらそう言うと、
少し間をあけたあと、彩空は言った。






「絶対、離れねぇ……」






彩空と視線がぶつかり、顔が近づく。

そのまま目を閉じれば、
唇に優しい感触があった。






「ねぇ、やっぱり私、花火大会行きたい……」

「……」

「どうしても、今年は行きたいの」






行かなきゃいけない気がするの。






「……わかった。行こう」

「いいのっ? やったぁっ! ありがとう!」

「ははっ、かわいー」

「だって嬉しいんだもんっ!」

「……嬉しい、か」






もう眠くなってしまい、
私は目を閉じた。

今は2時だから……5時くらいに起きよう。


あ……久しぶりに浴衣も着たいな。
彩空を惚れ直させなきゃ。


そんなくだらないことを考えながら、
私は彩空の膝の上で幸せな気持ちのまま
眠りについた。







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