お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
「私が言いたいのはそういうことではなくて――王位につくということは、大変なこと。その責任をあなたに負わせてしまっていいものかどうか」

「……母の罪については、知っています。きっと、僕も同罪なのでしょう――ですが。僕達は、民のために身を粉にして働くべきなのではありませんか?」

 まっすぐにオリヴィアを見るシェルトの目。嘘はなかったけれど、少年ならではの純粋な理想も多く含まれていた。

 外の世界に出たならば、その輝きをどこまで保っていられるのだろう。それは、わからない――でも。

(もう、この子は覚悟を固めているわ)

 オリヴィアはいつまでもこの国にとどまるつもりはない。この国は、この国の者に任せるべきだ。そして、グレゴールがそれにふさわしくないというのであれば。

「ダンメルス侯爵。あなたは、陛下の教育係でしたよね?」

「……はい」

「シェルト殿下にも教育をすることはできますか?」

「それは、なんとかします」

 多忙なダンメルス侯爵に、さらに責任を負わせることになる。

 オリヴィアは目を閉じた。

< 199 / 306 >

この作品をシェア

pagetop