お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
第七章 これで心穏やかに去ることができます
国中を回り、薬を届け、時には攻撃にも加わる。オリヴィアの夏は、そうして過ぎて行った。

 王宮に戻ったのは、季節が夏から秋に移りかわろうという頃合いだった。ひと夏を屋外で過ごしたオリヴィアは、完全に日に焼けている。

「肌の手入れを頑張らないとですね!」

 と、気合の入っているエリサは、さっそく薬湯を用意しに浴室へと駆けて行った。

 肌は清潔に保っていたし、侍女達が保湿用のクリームなどで手入れはしてくれていたけれど、旅路では落ち着いてじっくり手入れしている余裕はなかった。ふたりはそれが気になってしかたなかったらしい。

「申し訳ございません、騒がしくて」

 マリカが頭を下げる。

「いいの。エリサを見ているとほっとするしね」

 ウェーゼルク辺境伯家の暗部を担いながらも、エリサは明るさを失わない。そんな彼女の明るさは、オリヴィアをいつだって慰めてくれた。

「なにより大きいのは、シェルト殿下をお守りして王宮に無事に戻れたことよね」

 ケイトの送り込んできた暗殺者は、ひとりだけではなかった。それをすべて返り討ちにしてきたのは、マリカとエリサである。

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