お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
「旦那様とエーリッヒ様、お戻りになりました」

「――よかった」

 父と兄の無事を聞き、ほっと息を吐きだす。素直な表情は、彼女を人形ではなく血の通った人間だと強調していた。

「それから、ルーク……は?」

「ご無事ですよ」

 ルークの名を告げた時、耳が熱くなったような気がした。きっとマリカにはバレている。

 なんでもないふりを装いながらも足早に歩き続け、オリヴィアは怪我人達が集められている部屋へと入った。

「姉上!」

 かけてきたのは、弟のアントン。まだ、前線に出ることを許されていない彼は、後方で治療の手伝いをすることで辺境伯家に貢献している。

 飛びついてきた弟の頭を撫(な)でながら、オリヴィアは視線を巡らせた。

「お嬢様!」

「オリヴィア様、ご無事でようございました」

 次に声をかけてきたのは、手当てに当たっていた医師や怪我をしていない兵士達だ。それには首を振っておいて、アントンの身体をそっと押しやる。

「手伝うわ。それも領主一族の務めよ」

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