お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 それから、飲み物はワインを果汁と炭酸水で割ったもの。持参したカップに入れてもらう。このために、ちゃんと木製のカップを用意してきた。

 ワインはほんの香りづけみたいなもので、カップを空にしても酔いが回るほどのことではない。

「ねえねえ、あっちの屋台はなにかしら?」

「あれは煮込みですよ! スープとして飲めます」

「行きましょう!」

 大振りに切った野菜と肉をことことと長時間煮込んだ煮込み料理。汁はスープとしても飲めるらしい。いくぶん塩気が強すぎる気もするが、このあたりは肉体労働者が多い。身体を動かして汗をかく彼らには、このぐらいでちょうどいいのだろう。

「……たくさん食べたわね……」

 仕上げに、小麦粉や卵や砂糖を練って焼き上げ、砂糖をたっぷり振りかけた焼き菓子を摘まみながら、オリヴィアは嘆息した。大満足である。

 庶民の味はたしかに繊細さには欠けているかもしれないけれど、実家では城下町に足を運ぶこともしばしばあったから、こういった食事にも慣れている。

「オリヴィア様、これからどうするんですか?」

「……そうね」

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