お飾り王妃は華麗に退場いたします～クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね？～【極上の大逆転シリーズ】

第三章 懐かしい顔と新たな決意

準備を進めること三日。

「ふたりともさすがだわ！」

　オリヴィアは、全力で侍女姉妹を褒めた。さすがウェーゼルク辺境伯家の暗部を担ってきたふたりである。

「なにをおっしゃるんですか。当然のことをしたまでです」

「そうですよ！　私達は、オリヴィア様のために生きているんですからね！」

　エリサは、捨てられていたのを辺境伯家に拾われた。だからだろうか。彼女の忠誠心は、時として姉のマリカをたじろがせるほどだ。

　今回だって、エリサにはいろいろと大変な思いをさせてしまうことになったというのに。

「では、始めましょうか」

　エリサに報いるのは今度だ。まずは、目の前のことを片付けなければ。

　オリヴィアの目が、力強さを増す。侍女達が身支度を終えると、扇を手にしたオリヴィアはゆっくりと一歩踏み出した。

　目指すのは応接室である。

「お待たせしたかしら？」

　呼び出した客人に向かって、オリヴィアはにっこりと微笑んでみせた。相手の視線が、オリヴィアの身体を上から下までさっと走ったのもちゃんとわかっている。