くちづけ 〜You look good wearing my future〜
「映画研究会のメンバーが演ればいいでしょうが」

私は正論を言ったのに、ヤスダ曰く、

「いやいや、うちは文字通りに映画の研究と、撮るのは専らドキュメンタリーだから。演劇部もないし」

何という理屈だろう。

いくら、一度は快諾した倫也だって、こんな濃いものを演じるのは嫌だと思い、

「私たちには難しいよね?こんなの。演劇経験もないし」

キスも経験ないし。

倫也に同意を求めてみたのだが、

「うーん…でも、引き受けたことだしね」

まさかの反応。

「お願い!」

そう言って、怪しげな宗教のように、全員が手を合わせて拝んでくる。
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