くちづけ 〜You look good wearing my future〜
恋しくて
“恋しくて”という映画では、倫也みたいに物静かな少年キースが、学園のマドンナのアマンダに夢中になり、そんな彼のことを、私のようにドラム好きでボーイッシュな幼なじみの少女ワッツが片想いしているという三角関係が描かれている。

私がこの映画をたまたま知った中2の頃、まるで私と倫也のような幼なじみが最後はくっつくというストーリーを気に入り、かなり無理があるけれど…ジャッキー・チェンの映画と間違えてDVDを借りたということにして、倫也と一緒に観た。

心の内側では、倫也に私のことを意識して欲しかったからそうしたのだが、その想いを悟られるのもまた嫌で…なんだか、自分で自分が嫌になりもした。

正直、自分がこんなに面倒な性格だとは、それまで気付かずにいたから。

この映画の見どころは、やはり、ワッツがキースの恋を応援するという名目で、自らキスの練習台になるシーンだろう。

私が出演を躊躇うのは、まさにそれである。

“恋しくて”のオマージュ作だったら、このシーンがないはずがない。

つまり、私のファーストキスは、公衆の面前で…ということになってしまう。
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