くちづけ 〜You look good wearing my future〜
お互い、またソファに戻ると、倫也はそっと私の頬に触れながら、

「ごめんね…エスカレートして、唯は嫌だった?」

そんなことを聞くのも反則だ。

嫌ではなくても、いいなんて言えるわけがない。

つい口を噤んでしまうと、

「とにかくごめん。練習なら充分したから、きっと本番はうまくいくよ」

笑顔で言われ、ふと気付く。

撮影が終われば、もうキスすることはなくなるのだと。

何しろ、これは撮影のための練習でしかないのだから。

グイグイ迫られると引いてしまうくせに、これが最後かと思うと、急に淋しくもなる。

やはり、私はめんどくさい性格のようだ…。
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