龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?

「そうでしょうか……」

ここまでつれないと正直自信が無くなりヘコみそうになるけど、今は落ちてる場合じゃない。次のドラゴンへごはんを持って行かないと。

違う二輪車へ野菜や飼い葉を積み込む最中、トミーが話題を変えてきた。

「まあ、気落ちする暇もないんじゃないか?今日から飛行訓練だろ?いつも以上に大変だからな」
「……そうですね。たぶん、最初から乗れる人は少ないでしょうね」

トミーの言うとおり、養成学校の授業で今日から飛竜に実際に乗る飛行訓練が始まる。なんでも、いつもより早いらしい。
実践的訓練が早まっているのは、あのウゴルで騎竜の体調不良が続出したからか。

「やっぱり……まだ復帰できない騎竜が多いからでしょうか」
「たぶんそうじゃないかな。あの事件では400頭近くが体調を崩したからな……まだ復帰できたのは100頭あまり。それも万全な状態とは言い難いドラゴンばかりだからな」
「……ですよね。中には引退した騎竜もいましたし。騎竜とともに引退した竜騎士も少なからずいましたからね」

トミーの言うとおり、ウゴル混入事件は騎竜たちに深刻なダメージを与えた。
あの事件から1ヶ月近く経つのに、まだ200頭以上の騎竜が体調不良で療養中。50頭近い騎竜と竜騎士が引退に追い込まれた。

1000頭の騎竜のうち、まともに活動できる騎竜が600頭いるかいないか、というレベルまで落ち込んでしまったんだ。

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