龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?

リリアナさんが当てたのは、その日居残り練習をしてる最中。
ど真ん中でなくて端っこだったけれども、確かに矢は的に当たった。

「……当たりましたわ」

すると、あたしが近づく前に取り巻きであるマリナ伯爵令嬢とカリン子爵令嬢が素早く寄って彼女を称賛した。

「さすがリリアナ様!一番に成功するなんて。やはり素晴らしい才能をお持ちですわ!」
「そうですわ!生まれながらに竜騎士になるべきお方ですもの。きっと竜騎士になられたら一番に龍騎士に認められるに違いありませんわ」

いついかなる時も、ヨイショを怠らない令嬢たち……ある意味すごい。

「お疲れ様、リリアナさん。すごい進歩だよ。はい、水分補給してね」

あたしが水筒を渡しながら話しかけると、リリアナさんはふん!とそっぽを向きながら受け取った。

「……たまたまですわ。わたくし自身、まだまだ自分に足りないものばかりと理解しておりますもの」

顔の汗を拭おうともせず、リリアナさんは水分補給をした後にまた騎射に挑んだ。

(リリアナさん、すごい努力家だな……貴族令嬢ってみんなこんな負けず嫌いなのかな?)

「見て、アリシア!やっと矢をつがえるようになったよ!」

ザラードもゆっくりだけど確実に進歩してる。
一部を除いて今日もまた、みんな日が暮れるまで居残り練習をしていった。

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