キミとの距離が、縮まらない。

「あ、ごっめーん。ペンキかかっちゃった?でも大丈夫だよー?水性だから、すぐ落ちるってー。ジャージだし、大丈夫っしょ。」


「あははっ!でも赤色だから目立つんじゃね?」


「やっべ、お化け役の俺達より恐怖だな。血まみれ感たっぷりで。」


「てことは、黒田さんのお化けメイクはこれで決定ー!」


「あれ?黒田さんって受付じゃね?」


「受付もお化けだと面白いじゃん。」


「それもそうだな!」


私以外の、この場にいる人達、全員が私を見て笑っている。


――ひどい!!こんなのって、ないよ。


「なんでこんなこと…?」


懐中電灯の明るさに、目が慣れてきた。


私は声を震わせながらも、できるだけ松本さんを真っ直ぐ見て尋ねる。


すると、松本さんは当たり前だと言わんばかりの口調でこう言った。


「長谷川くんと企画委員して調子乗ってるからよ。なんか仕切っちゃってさー。キャラ変わりすぎ。ウザい。」


――仕切るって…!企画委員ってそういう仕事をする担当でしょ?
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