再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
咳と咽頭痛が続いていたという54歳男性の大野さん。
いつもは遅くまで仕事をしていて、受診するのはいつもこの時間だ。

定期受診をしているわけではないけれど、体調を崩したときはいつも関原クリニックを受診してくれていた。


「大野さん。ただの風邪症状でよかったですね。お大事になさってください」

「ありがとう」


診察券と処方箋を受け取った大野さんは、会計を済ませると帰って行った。
大野さんを見送ると、入り口の鍵を閉めてブラインドを降ろす。

患者さんがいなくなった待合室は一瞬で静かになり、テレビの音だけが流れていた。


「西野さんお疲れ様。片付け終わったら帰っていいからね」

「はい。お疲れ様です」


処置の後片付けをしていた看護師さんが、いつものように声を掛けてくれた。

返事をしてから待合室のテレビを消して、無造作に散らばった雑誌と新聞を綺麗に整える。
その後は患者さんが履いていたスリッパを消毒し、綺麗に並べ直した。


「すみません。お先に失礼します」

「はーい。お疲れ様! また月曜日」


診察室や処置室の片付けも終わっているようだったけれど、看護師さんたちはまだ休憩室でなにやら盛り上がっている様子。

クリニックの外へ出ると、すでに優太先生が車の近くで待っていた。
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