再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
戸惑っていることに気が付いたのか、再び優太先生が口を開く。


「返事はゆっくりでいい。今すぐには、決められないと思うから」


真っ直ぐ私を見つめながらそう言ってくれる優太先生は、とてもいい加減な気持で告白してきたとは思えない。

それでも私には蒼斗のこともあるし、前に勤めていた仕事のこと、シングルマザーということもある。
優太先生が、私の過去も受け入れてくれるかは現時点ではわからない。

乗り越えなければならない壁が、たくさんあるのだ。


「すぐに返事ができなくてごめんなさい……」

「気にしなくていい。西野さんのペースで大丈夫。いい返事が聞けることを期待したいけど」


そう言って笑ってくれる優太先生は、やっぱり優しい。

……きっと、優太先生と付き合ったら幸せなんだろうな。
『過去は過去、今は今』と言って、すべてを受け入れてくれそうな気がする。

それでも、まだ心の中に消えない蒼汰さんの姿が、優太先生を比べてしまいそうで怖い。
それすらも、受け入れてくれそうだけれど。


「そろそろ行こうか。子ども、待ってるだろ?」

「あ、はい。ありがとうございます」


伝票を持って席を立ちレジへと向かうと、当然のようにお会計を済ませてくれた優太先生。
帰りの車の中も気まずくなくて、居心地のいいひと時だった。
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