再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む

突然の訪問者と、莉乃の決意

オムライスを盛大に焦がしてしまった翌々日の土曜日のこと。
昨日の勤務を最後に、私はTiaraを退職。

年が明け、新しい年がスタートして少ししてから、蒼汰さんのお母様がパリから帰国した。
ただ、予定が合わずに未だご挨拶ができていない。

それでも蒼汰さんは予定を合わせてくれて、今日は区役所に婚姻届けを提出することになっている。

年が明けてすぐも病院からの電話がかかってきたりと忙しそうにしていた蒼汰さんだったけれど、今日は1日オフ。
病院から連絡がくることはないと思う。


「莉乃、準備できたか?」

「は、はい」


部屋に置かれているドレッサーの鏡を見て、最終チェックをする。

今日は薄めのメイク。ブラウンがかった長い髪をコテで緩く巻き、ホワイトのニット帽を被る。
それに合わせたオーバーサイズのニットとジーパン。

お気に入りのニーハイブーツを履いて、準備万端だ。


「莉乃、コート忘れてる」

「あ、そうでした。ありがとうございます」


玄関で黒のトレンチコートを手渡してくれた蒼汰さんも、今日はいつも以上にかっこいい。
別に特別正装をしているわけではないけれど、洋服は私とリンクコーデしているように思えた。

既に記入済の婚姻届けをバッグにしまい、いざ出発。
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