とどまることをしらないで。



まって、それは無理無理むり……っ!



「はいっ、じゃあおふたり様どーぞ!」



急かすような声が、地獄に感じる。



『は、恥ずかしすぎて死んじゃう……』



ぜったい、顔真っ赤になるもん。ていうか、もう真っ赤かもしれない。



……っもう、どうにでもなれ……っ!


ぱっと前を向くと、管野腕を広げて待っていて。



「……ん」


「……え、」



思わず固まっていると、こつ、こつ、とこちらへ向かってくる足音が聞こえて。



ーーぎゅっと、抱きしめられた。



「~っ、」



……ど、どうしよう…。

心臓が、ばくばくしてる。

絶対聞こえてるよね、と思ったところで違和感に気づいた。



……あれ、これわたしの心臓の音じゃない……?



わたしの心臓がありえないほど高鳴っているのは分かる、だけどそれ以外にも、とくとくと早い鼓動が聞こえた。



……もしかして、




「……見ないで」




そっぽを向いている管野くんの表情は、分からない。



「……っ、」



だけど、聞こえる少し早い鼓動が、わたしの顔をもっと真っ赤にさせた。







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