海のように輝く君色を、もっと知りたい。〈ボーイズライフ〉
✩.*˚

 最後のシーンも終わってしまった。

 最初は長い期間だなと思っていた。でも実際、本当にあっという間に撮影の日々は過ぎていった。会館前からバスに乗り駅前に着くと、もう終わりなんだなと実感した。

 住んでいる街に向かう電車に乗った。
 電車が動き始めて少し経った時、野田は言った。

「実はですね、僕、平井くんのこと怖い人って最初は思ってたんです」
「野田の俺に対しての反応、怖がってひどかったもんな」
「あの時はすみませんでした」
「いや、謝らなくても別にいいから。俺も学校で態度悪いのとか自覚してるし」
「でも、話してみると怖くなくて、話も聞いてくれて、僕に興味まで持ってくれるし。そして僕の好きなことを受け入れてくれて一緒にやってくれて……実は同じ歳の、そういう方と出逢えたのって初めてなんです」

 俺も、一緒にいてこんなに居心地いいと感じるやつと出逢ったのは初めてかもしれない。

「平井くんと、こうやって一緒に参加出来て嬉しかったです。平井くんと出逢えてよかったです」

 そう言いながら微笑んだ野田は、俺の肩に頭を乗せて寝た。ドキッとした。

 撮影の達成感のようなものが感じられる野田の寝顔はさわやかすぎた。寝顔を見ながら、もっと野田を知りたいと思った。

 俺も気を張ってたからか疲れがどっと出てきて、気がつけば野田の頭に自分の頭を軽く乗せて眠りについていた。

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