11回目の復讐~呪いの婚姻を受けた私と王太子は、同じ命で繋がっている~

第1話 婚姻が呪いの始まりであった1

 ヴィオラ・フィルスが彼に出会ったのは、彼女が5歳の時であった。

「まあ、可愛らしいっ!」
「とんでもございません、王妃様。こんな麗しき王子リーベルト様とご婚約の誓いを交わせるとは、幸せでございます」
「ふふ、私達の仲じゃない! これからは親戚になるのよ」

 扇を片手にして口元に当てながら笑みを浮かべ、麗らかに笑う二人の夫人をヴィオラは静かに見上げていた。
 5歳の子供にとって婚約と言われてもピンとくることはなく、ただなんとなく嬉しいこと、喜ばしいことなんだなと子供心に思うだけ──

「君は私の妻になって、ゆくゆくは妃になるそうだよ」

 差し伸べられた手の意味が分からず、ヴィオラはなんとくその手に自分の手を重ねる。
 そう、目の前の彼が望んでいると思ったから──

 ヴィオラという少女は人の心に敏い子だった。
 両親が自分に第一王子の妃に、と期待を寄せていたことも理解していたし、子供らしく無邪気に遊ぶでもなく笑顔を見せるでもない彼女をメイドたちが気味悪がっていたこともわかっていた。
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