Immoral

願いがかなって

次の日、早川さんは車で迎えに来てくれた。助手席に乗りこむ時は緊張とうれしさで舞い上がっていた。

それを悟られまいと涼しい表情を作ってみようとするがうまくいかない。なんとか顔がほてらないようにするのが精一杯だった。

それまでも付き合った人とドライブは何度もしていたがそれとは違った緊張感があった。

車種に疎かったのでよくわからなかったがデート向けの車ではないのだけははっきりしていた。日常的に仕事に使っている車というのが一見してわかった。

後部座席には工具の入った箱や仕事の書類が入ったようなものが置かれていた。無造作にそれを押しやる動作全てに大人の男を感じた。

「ごめんね、汚くて。」

と早川さんは言った。

私はドキドキしていて

「全然。気にしないで。」

とかなんとか、もごもごと言ったような気がする。

待ち望んだデートなのに車に乗っても何を話していいかわからなかった。

会話がとぎれがちになっても早川さんは一向に気にする風でもないのが余裕に感じられて私は余計に焦った。

「さあ、どうしようか。映画でもみようか。」

と早川さんは言った後にっこりと笑った。とても太刀打ち出来ない魅力的な笑顔だった。私は催眠術にでもかかったようにこくりと頷いた。すっかり魅了されていた。
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