隣のキミに、恋しました。
隣のキミに、恋しました。
高校2年目の春。
クラス替えで私、茅島 凜の隣の席になったのは……
「おい、白澤! お前また寝てるのか? ちゃんと起きて授業を聞きなさい」
「ん……、はーい」
授業中はほとんど寝てばかりで、いつも先生に注意されている白澤 琉貴くん。
「ふああ、眠ぅ」
たった今先生に注意されたばかりなのに、再び机に突っ伏す彼。ダメだな、この人。
「ねぇねぇ、茅島さん」
数学の授業が終わるとすぐ、私に話しかけてくる白澤くん。
「ごめん、さっきの数学のノート見せてくれない?」
「え!?」
白澤くんは寝ていて板書していなかったノートを見せて欲しいと、なぜか毎回私に頼んでくる。
「ねぇ、琉貴くん。あたしがノート見せてあげようか?」
「せっかくだけど、ごめん。俺、ノートは茅島さんに見せてもらうから」
彼に断られたクラスメイトの平田さんが、私のことをキツく睨みつけてくる。
な、なんで私が睨まれなくちゃいけないの。
白澤くんのせいじゃないかと、隣の席に目をやると、彼は胸の前で両手を合わせ可愛くおねだりしている。
そんなふうにされたら、見せるしかないよね。
「いいよ、はい」
「やったぁ。ありがとう」
渋々ノートを渡すと、キラキラした笑顔を見せる白澤くん。
素敵な笑顔を向けてくれるのは嬉しいけど、そもそもどうして私なんだろう。
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