初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
 まるで浮気がバレた容疑者みたい。

()のことなんだね。今はどう思ってる?」 


「ナルシストで自分勝手だって思ってる。自分のことが大好きで、イケメンだと思っていて、世の女性は微笑めばついてくるとか思ってそうだし、自分勝手だし、関わりたくないって思っているし、ちょっとは綺麗になって見返したいくらいは思ってるけど……」


 あぁ、そうなんだ。ハリーは自分の隣にいる人には美しくなきゃ。みたいな事を言っていた。だから綺麗になって見返したい。って思ってた。もう過去の話だけど。仲は良かったけれど領地に行っても手紙の一つもくれないような薄情な男なんだ。
 期待しちゃいけないんだって……領地にいた三年間はハリーをさっぱり忘れる事だったし、それに領地での暮らしも楽しかったし、何よりジルベルト様と出会えた事は奇跡だと思う。

「オフィーリア?」

「過去は過去だよ。今はジルベルト様が大好きだし、グレイブス子息との事やリューのことが無かったら領地に行く事もなかったかも。そしたらジルベルト様と出会えてなかったかもしれないし」

 そんな未来は嫌だな……でもリューは元気でいて欲しい。

「……ごめん。そうだよね過去は過去か。黒歴史を思い出させてごめん」

 黒歴史……ひどい! ちょっと言い方! 眉間に皺が寄ってしまった。ジルベルト様はふふっ。と笑った。

「ごめんごめん。嬉しくてさ、今は僕のことを大好きなんだよね」

「……うん、好き」

「これからの未来は二人で作ろう。ちょっとだけ妬けたけど、子供の頃の淡い思い出だろうからね。それも含めて今のオフィーリアが大好きだからね」

 比べてはいけないけれど、ハリーなんかとジルベルト様は全然違う! 優しくて思いやりがあって誠実だし、それに……すごくかっこいい! 惚れるなと言われてもムリだわ……

「オフィーリアにもっと好きになってもらえればすむ話だからもう二度と聞かない」
「うん……」

 オフィーリアと言われてジルベルト様を見ると綺麗な顔が近寄ってきた! コレって! アレ?

 ど、どうしよう。と、とにかく目を瞑るんだよね! ギュッと目を瞑ると、チュッと、温かいものが……額に。あ、アレ? 驚いて目を開いた。

「オフィーリア、可愛い」

 ひゃぁ! 次は頬に……そしてまた目が合ったから自然に目を瞑った。

 唇に温かいものが重なった。十六歳の誕生日の思い出。

 
 

 

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