初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
 なんだ、なんだ、新手の果たし状か? それなら受けてやろうじゃないか!

 授業が終わり、ランチタイムとなる。オフィーリアを迎えに教室へ向かう。

 あぁ、今日もオフィーリアは可愛い。友人のスザンナ嬢と話していた。フローリア嬢とは気軽な関係なんだろうな。そう思い声をかけずにしばらく眺めていた。

「あ、ジルベルト様だわ」
「あら、お迎えね。行ってらっしゃい」
「うん、後でね」
「移動教室だから忘れないでね」
「はーい、ありがとう」

 子供の頃から知り合いだと言っていた。誕生会でも真っ先に紹介してくれたから大事な友人なんだろう。オフィーリアの大事な友人は僕にとっても大事な人だ。会釈してオフィーリアの持ち物を持つ。

「あ、おい、オフィーリア忘れ物!」
「あら。ありがとうユリウス」
「おう」

 ……今お互いを呼び捨てにしてなかったか? 誰だ、あの男は!

「お待たせ、もう。声をかけてくれれば良かったのに」
「……うんそうだね」

 誰だ、誰だ、誰だ! くそ、オフィーリアの友人関係が把握できない! やはりクラスが別だと不利だ!

「ジルベルト様どうしたの?」
「さっきの子息とは……その、仲が良いのかい?」

「さっきの子息……、あぁ、ユリウスね」
「呼び捨てにするほど仲が良いのか……」

「もう、ジルベルト様ったら! スザンナの婚約者だよ。誕生日会にも招待したんだけど、急な発熱で来られなくなっちゃって紹介はできなかったけれど」
「スザンナ嬢の……あぁなんだ、そうか。でも呼び捨てにするほど仲が良いのかい?」

「スザンナの家のお茶会で会って婚約者と紹介されてからだから学園に入る少し前からかな。あの二人すごく仲が良いんだよ。ジルベルト様たちとランチを一緒に摂る前まではスザンナと一緒だったのよ」

 ()()()()嬢と摂っていたのなら問題ない。あのユリウスとかいう子息と一緒にいる子息は()オフィーリア応援隊のメンバーじゃないかっ! 目が合うと頭を下げられた。
 そしてパクパクと口を開け“約束は守っている”と言うのだ。来年からはクラスが別になるだろうから(成績確認済み)仕方なく許しておくことにする。しかし約束を破ったらタダでは済まさないぞ。と言う意味を込めて、睨んでおいた。おっと、オフィーリアとの大事な時間なのに!

 
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