初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました

ハリーの実情


 ~ハリー視点~

 はぁ。疲れるな……俺の顔を見て昔の父を思い出す。などと声をかけてくる夫人達。お茶会の招待もよく貰うし、爵位が高くそれでいて美しい令嬢と出会い結婚したいと思っていた。

 とある夫人に声を掛けられ茶会に参加すると夫人の夫が挨拶にやってきた。夫人は俺を紹介し、グレイヴス子爵の若い頃にそっくりでステキよね! と言う。すると夫人の夫は“そうだったな、君は子爵のファンだったね”と言う。夫人は“うちの娘をハリー様と結婚させるのはどう? きっと美男子が産まれるわ”と嬉しそうに言った。それから夫人と会うことはなくなった。

 とある夫人は俺に良くプレゼントをくれた。お金持ちのマダムだからありがたく受け取っていたのだが、夫と別れて結婚しよう。と言ってきた。そんなつもりはない。と言うと付き纏われるようになった。これがまた姑息で誰もいない時に現れるものだから怖くなった。夫人の行為が夫にバレたようで“もう妻が君の前に現れることはない。今まで妻が君にプレゼントをした物は迷惑料だと思ってくれ”と言われた。

 それを機に茶会の招待も減った。どこで失敗したんだろうか……母にも注意をされる。誰に対しても良い顔をするからこうなるの。本当に大事な人が出来た時に苦労するわよ! 見た目ではなく中身をみてくれる子はいないの?

 ……考えたことなかったな。父に似て整った顔を武器にして高位貴族の美しい令嬢と結婚しようと思っていた。俺自身も中身なんて見てなかったんだ。
 夫人達に良い顔をして、時にはプレゼントをもらい、体の関係を求められる事もあった……優しい言葉をかけて、話を聞いてあげるだけで……ってこれでは接待サービスをする怪しい職業の男と同じじゃないか!

 良かれと思ってやっていたことが裏目に出るとは……

 うちの家は貧しいわけでもないし、金が有り余っているわけでもない。父と母が仲良く家を回している。山あり谷ありのようなスリルな人生より、安定して暮らしたいと言っていた。母の学園時代の同級生が伯爵家に嫁ぎ娘が俺の一つ下だということで、家族ぐるみで仲良くしていた。カルメル伯爵家の娘オフィーリアはブラウンの大きな瞳をした可愛らしい女の子だった。その子の後ろにはいつも体の弱いアンドリューという名の弟がくっついていた。

< 131 / 175 >

この作品をシェア

pagetop