初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
 そう言う考えもあるのね! 下の上って考えるともう少し頑張れそうな気がする。アンドリューさすが賢い。

「分かった……頑張る」

 アンドリューは元気になってからは剣術まで習うようになった。ひ弱である事にコンプレックスを抱いているみたい。



「ここで何するの?」
「ピクニック! もうすぐ昼食を届けてもらえるの」


 緩やかな流れのきれいな川のほとりだった。

「先に言ってよ! それなら植物図鑑を持ってくればよかった」

「また来れば良いでしょう? それよりも」

「ちょ。ちょっと何してるの! 人に見られたらどうするのさ」

 タイツをガーターから外して足を出した。

「誰もいないもん」

 そう言って川の水に足をつけた。

「気持ちいい……リューも足つかったら?」
「いや、僕はいい……」

 と言って目線をあさっての方向にやる。

「なんでよ! 一人じゃ楽しくないわよ。ちゃんとタオルも持ってきているわよ」
「僕は見張っているから、姉様は好きにしてて……」

 せめてこっちを見て話したらどうなのよ! と思ったけれど、喧嘩するつもりはないからやめた。

「見張りなんて良いのに。誰も来ないわよ」


 ちゃぷちゃぷと足を上下に浸からせている。もう少しスカートを上げないと濡れちゃうわね。シルクのワンピースだからシミになると怒られちゃう。

 空を見ながらちゃぷちゃぷと足を浸からせていると、馬車が近づく音が聞こえてきた。邸のメイド達が食事を持って来てくれたのだろう。


「そろそろ上がって……ってなんて格好をしてるの! 姉様は一応伯爵家令嬢だよ! 足を丸出しにして……姉様は露出狂なのか!」


 露出狂って……少し太ももが見え隠れするくらいで大袈裟な……十二歳に怒られる十四歳って……

「姉様はあと一年もしたら貴族学園に通って大人の仲間入りになるんだよ? こんな姿見られたら嫁の貰い手が無くなるんだからね!」


「……大袈裟ね、とにかくみんなが来るまでにタイツを履くからリューは見張ってて! それとも私がタイツを履くところ見ていたいの?」


 と言うと顔を赤くさせて後ろを向いた。アンドリューはしっかりとしてきたわね。こんなに口うるさくなるとは思わなかったけれど元気になってよかった。

 それから木陰で昼食タイムとなった。それにしても青空の下で取る食事は良いわね。

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