初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
 決まってる。って知らないけれど、まぁいいや。

「そうなんだ。また機会があるかもしれないね。それじゃあ行くね」

 リューは面倒くさがって行かないだろう。わざわざ食事会なんてしなくてもおばさまは、お母様のお友達でうちに来るから会っているし。

「待った!」

 腕を掴まれた。

「なに?」
「……いや、今度お茶でもしないか、その、二人で。久しぶりだし募る話もあるだろう。領地へ行っていた時の話を聞かせてくれ。学園にもまだ慣れてないだろうし相談に乗る」

 ハリーのような人気がある子息と二人になるのは避けたい。幼馴染だけど周りに変な誤解をされたら困る。ハリーのことを好きな令嬢に嫌がらせとかされたくないし! 


「あ、結構です」

 ズバッとお断りした。

「え?」

 驚くハリーだけど、なぜ? という気持ちになる。

「(人気のある)子息と二人になるのはちょっと……昔みたいに気楽な関係ではないから幼馴染とはいえその辺はしっかりしなきゃね。挨拶くらいが丁度良い距離なのかも?」

 ハリーが驚いた瞬間に腕を払った。

「さっきは知っている顔を見たから咄嗟に隠れちゃったけど、これからは迷惑かけない様にするね。ありがとう、じゃあね」

 一人になるとさっきの様に子息に声をかけられるのか。対策をしないといけない。こういう時の相談相手といえば……


 
「お友達とランチをするのに憧れていたのよ」
 
 なんて言われたら断れないもの。フローリア様可愛らしい。尊い。
 

「こんな場所があったのですね。知りませんでした」

 いつもはお弁当を持って外で食べたりするのだけれど、こんな静かで素晴らしいテラス席があっただなんて!

「知っていてもここで食べようとは思わないんじゃないかな」

 ルシアン様が言う。

「どういうことですか?」

「学園は平等だけど、弁えてこその平等。学園的には王族とか地位のある家の子供を預かる以上安全を考慮しなきゃいけない。だからこういう席も存在する。むしろ学園的にもフローリアとか僕とかにはこういう場所にいて欲しい。って、ところだよ」

 なるほど……学園はセキュリティがしっかりしているから安全だけど、もしものことを考えてという事ね。知らなかった! 
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