初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
「へぇ(幼馴染って)厄介だね」

「? でも学園内でも学年が違うので会うこともありませんし、入学してから話をしたのも、会ったのも二、三回ですよ」

 見かけたことはあるけれど令嬢達と親しくしていた。

「警戒するに越したことはないわね。グレイヴス子息は令嬢に人気のある方ですから、良い噂も悪い噂もありますでしょう?」

「……オフィーリアが“ない”と言っているんだからないのだろう。ただフローリアの言う通り警戒はした方が良い。昔と今では考え方も変わっているかもしれん。オフィーリアも知り合いだからと気を許してはいけない」
 
 念には念をと言う事ね。

「分かりました。皆さん相談に乗っていただきありがとうございます」

 その後教室へ行くまでの分かれ道まで一緒に行った。何かあったらすぐに相談しても良いとのことなので、お言葉に甘えようと思った。

 教室へ戻るとスザンナと目が合った。スザンナには婚約者がいて同じクラスで仲が良い。私がフローリア様にランチに誘われたと言うと、婚約者と摂るから行っておいでー。と言われた。何かと世話焼きなので昔から仲良くしてくれている貴重な友人だ。

 授業が終わるとスザンナに聞かれた。

「リア、来月のダンスパーティー、パートナーはいるの?」

 なるほど。スザンナ浮かれているのね。婚約者がいるから相手の心配はないものね。となると私の心配?

「うん。ご心配なく!」

「そう! 良かった。実はね──」

 なるほど。スザンナ経由で私を誘おうとして来る子息がいるのね。それは申し訳ないことをした……

「ごめんね。迷惑をかけて」

「良いの、良いの! 相手がいるならすぐに断れるじゃない。で、相手は誰?」

 まだ相手は言わない方が良いとなった。パーティの日までにジルベルト様に迷惑が掛かっちゃう可能性もある。自意識過剰に取られる可能性もあるけれど、それくらいで良いんだって。

「内緒!」

「えー! 言いなさいよ。秘密の恋人でもいるの?!」

「そんなんじゃないわよっ! いたら紹介するに決まっているでしょう」

「そうだよね。もうっ、フローリア様とか高貴な方と友人になったからって私のこと忘れないでよね!」

「そんなつもりはないよ。そんなこと思ってたの?」

「少しは思うわよ? でもリア、気をつけてね。なるべく一緒にいるから」

「ん? ありがとう?」

 気をつけるって何に?


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