初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
 僕の今の姿は、髪の毛はぼさぼさに、そして変なメガネを掛けている。僕の容姿は亡くなった美人だった母に似ていていて少しコンプレックスでもある。男なのに女顔って……それでバカにされたりもした。
 令嬢からも男装した令嬢だなんて言われて傷ついたこともある。幼いころに言われた事なんだけど学園では顔を隠している。領地で顔は知れ渡っているし、母は領民に人気があったから素顔の方が喜ぶんだけど。

 ダンスパーティーでこの姿は流石にな……牽制どころか、オフィーリアといても牽制出来ない。いつか姿を晒すのならいいタイミングなんだろう。

 それからしばらくして、庭園の散策をしていた。緑が生き生きとしていて癒される。学園の庭園は素晴らしく手入れが行き届いている。たまに添木がズレている時はこっそりと直す。それも楽しみである。

 来週に迫ったダンスパーティーで学園内ではパートナー探しに拍車が掛かっていた。

「オフィーリア良かったら、パートナーになってくれないか? 誘われるのはいいんだが決めかねていると、もう来週に迫ってきた! 何か言われても幼馴染だ。といえば問題ないだろうし」

 は? だれだ?! 幼馴染といえば……あいつか!

「私もうパートナーがいるからお断りします」

「誰と行くんだ? 相手がいないのに断っていると噂されているぞ。強がりはよせ」

「誰とでも良いでしょう? ハリー様に関係ないもの」

 まったく関係ないよな!

「言わないと、この手を離さないからな」

 手? 手を掴まれているのか! これは助けなきゃまずいな!

「痛いわねっ! ロワール伯爵家のジルベルト様よ!」
「は? あの地味な? 暗そうな子息?」

「失礼なこと言わないでよ! ジルベルト様はお話も楽しいし、優しいし、思いやりもあるし、領民に慕われていて努力家なの。何にも知らないくせに悪く言わないで」
「いやいや、どう見ても地味だろ? ソレイユ侯爵の親戚だから一緒にいる感じだろ」

「ルシアン様が単なる親戚だからって一緒にいるわけないでしょう。何も知らないくせに適当なこと言わないで」
「おまえ、もしかして地味線なのか? だからあの時婚約の話も断って、」
「そんな昔の話出してこないで! じゃあね」

 

 ……地味線なのか? いや、会話の流れだったからだよな。確かに僕は素顔を隠している。

 聞き耳を立てて悪かったけど……嬉しかった。こういう時に堂々とオフィーリアを守れるような男にならなきゃな……
 



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