初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
「女性同士のお茶会でサツマイモについて聞きたいと言われて断れなくて……なぜ小公爵様が急ぎの手紙を」

 そう、そう、なんで?

「女性同士の茶会なら全く問題はありませんでした。しかし“あの”子息が絡むと厄介です。子息は女たらしで下半身が緩い男です。美術に造詣があるから美しいだの芸術だのと言い泣かせた女性は数知れず。妹がボート遊びをしたいとオフィーリア嬢を誘ったらお茶会に負けたと言っておりまして、どこの家で茶会をするのかと聞いたところ、評判の良くない子息の伯爵家だというではありませんか? 何もされなかったかい?」

 さすがステファン様。洞察力が素晴らしい。


「……されてはいませんが、子息が変態だということは分かりました」

 さぁっーと顔を青くするお母様。

「大丈夫だったの! もう二度と子息のいる家にお茶会に行こうだなんて言わないわ。オフィーリアに何かあったら……」

 ぎゅうっと抱きしめられた。


「お母様、ご心配をかけてしまいましたね。でも大丈夫ですよ。逃げる準備もしてましたもの。ほら、ローヒールなんですよ! 脚力には自信がありますし、帰り道にも目印を付けておきましたから」

 知らない邸は迷路だと思え! と先生に言われて目印をつけるように厳しく言われている。先生って何者なんだか……逃げ足が速いのが自慢って、自慢すること?


「先生にお礼を言っておくわ……」
「お金の方が喜びますよ」

 いつも研究費が……とぶつぶつ言ってるから。

「何事もなくて良かった。ところでその変態と次会うつもりはあるのかな?」

 ステファン様に問いかけられたけれど答えはNO!

「だろうね。私の方から()()()()()伝えておこう。妹の友達の頼みだからそれくらいは喜んで。さてまだ昼前だから、ボート遊びをしないか? 女子会とやらをしたいと妹が言っているからついでに泊まって行けばいい。夫人許可を頂けますか?」

「えぇ、それはもちろん」

 急遽お泊まり会が決まった。




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