初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
「いえいえ、とんでもないです。全て美味しそうです」

 見たことのないフルーツがたくさんあった。私は朝に食べるフルーツがとにかく好きだ。許されるのならフルーツだけ食べたいくらい。

「遠慮せずに好きなだけ取るといい」

「はい」

 と言いながらも少し遠慮して食べた。公爵家の使用人さん達の前で緊張するし……それからステファン様をお見送りした。

「それでは、行ってきます」
「「いってらっしゃいませ」」

 働く男って感じ! 立ち姿からして出来る男感が漂っている。これはモテる。朝から良いものを見せてもらった。眼福、眼福。


 

「さて、煩いお兄様は仕事へ行ったから、街に行きましょう! ルシアンとジルは現地集合よ! 休日に友人と街歩きをするのが夢だったの」

「あ、私も家族以外とお出かけをしたことありません(先生は家族にカウント)」

「本当! ふふっ。オフィーリアの初めてを貰うわ」
「……フローリア様の言い方には語弊があります。変態を思い出してしまいました……あっ! ネタにしていますか?」

「イヤなことは笑ってしまった方が良い時もあるかと思って。イヤならもう言わないわよ?」
「いえ、大丈夫です。フローリア様ってとても楽しい方ですのに、どうして友人がいないのか不思議です」

 こんなに素敵で楽しいのに勿体無い。

「公爵家の令嬢って気位が高そうでしょう? みんな太鼓持ちばかりで面白くないもの。でもオフィーリアは違ったからこちらから話しかけたの。楽しく過ごせる友達って中々できない、だから今は楽しいわ」

 確かに公爵家といえば、私も雲の上の方達だと思っていたもの。今もそれは変わらないけれど、可愛い人だと思う。

「私も……誤解していましたから」
 
「私はオフィーリアに興味があったわ。噂の癒し系令嬢に……でも、思っていた癒し系とは違ったわね」
「それなら私もですよ? フローリア様が孤高の華だなんて……ルシアン様やジルベルト様、私もいますから」

「それもそうね。誰が付けたかは分からないけど、二つ名を付けるのが好きよねぇ」
「本当ですね。私もビックリしましたよ。誰の事? って思いましたもの」
「私は結構早いうちに付いていたわね……」

 そういえば太鼓持ちさんや取り巻きさん達ってどうなったんだろう? それに幼い頃から“孤高”だなんて辛いよね。


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