Labyrinth~愛に迷う~
「本当ごめん。あのさ、本当に仕事なわけ?ほかの女ってことはない?」

大倉くんが言った。

「俺もそう思う。ほかの女がいるんじゃないの?」

鈴木さんも言った。

「それはないと思うけどわかんないよね。」

私は言った。

「でもそうだとしても結局は自分の気持ちの問題だと思うんだ。確かめるのも怖い。彼を失うことになるかもしれないし。このまま目をつぶっていたいのか、問い詰めて彼と別れることになってもいいのか。」

「うーん、何とも言えない。」

山本くんが言った。

「鈴木さん、電車なくなるから俺達帰るよ。」

隣のテーブルにいたマネージャーの滝沢さん達が席を立ちながら声をかけてきた。

「おお、俺も帰るわ。」

時計を見て鈴木さんも立ち上がった。そろそろ日が変わる時間だ。私も帰ることにした。

結局みんな帰ることになった。割り勘して会計が済むと鈴木さんが大倉くんと山本くんに言った。

「悪い。俺、明日遅番だからよろしくな。」

「マジ?うわっ、きったねぇなー、遅番かよマネージャー。ウソウソ。了解っす。」

大倉くんが言った。

「じゃ私はチャリだから。」

私は駅に向かうほかのみんなと店の前で別れた。

「じゃあな。気をつけろよ。」

男子達がそう言って手を振った。
< 41 / 76 >

この作品をシェア

pagetop