俺の彼女は

「お前見たことないだろ、高田さんの笑顔。破壊力ハンパねぇぞ」

知ってるよ、その破壊力。

てかその教室の相手、たぶん、俺だわ。


学校では恥ずかしいし秘密にしたいって言ってるのに、あの日、「ちょっとだけ」、なんて咲姫が言うから、俺もつい気が緩んだ。



「いいよなあ、俺も女子になりてぇ」

それはまっぴらごめんだけど、俺ももっとそばにいたい。

誰の目も気にせずに。



「高田さんって誕生日いつだろう?」

 教えないよ。



「もう一回連絡先聞こうかな」

 俺はもう協力しないぞ。


「高田さん、彼氏いるのかなぁ」

 そんなの、言えるわけない。


 言えない。

 言わない。

 お前にだけは。



俺の彼女は、

「お前の好きな人」、

だなんて。



「あー、もっと彼女のこと知りたい」


教えないよ。

たとえお前が、俺を親友と呼んでくれても。

彼女が実は不器用なことも。

本当は努力家で、いつも一生懸命なことも。

素直で甘えん坊で、優しいことも。

寂しがり屋で、すぐ泣いちゃうことも。

不安症で、テスト前の夜は、朝まで電話をつないでいないと眠れないことも。

着やせするけど、実は二の腕も、太ももも、お腹の辺りもプニプニしてて、抱き心地が最高なことも。

あのかわいい笑顔を引き出す、笑いのツボも。



俺だけに見せる、素顔。

俺にしか見せない、笑顔。

俺だけが知ってる、彼女。

誰にも見せたくない。

誰にも教えたくない。


だから言えない、彼女の話。


< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

もう一度、君に恋する方法
梅桜楓/著

総文字数/151,868

恋愛(純愛)60ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「そもそもさ、結婚生活続けるために、相手を好きじゃなきゃダメなの?」 「ダメでしょ。  だって、結婚って好きな人とするもんでしょ?  好きじゃなくなったら、結婚生活なんて続けられないじゃん」 「好きかどうかなんてさ、どっちでもよくない?  だって結婚して子供もいるんだよ。  家事して育児して、一日を終えるのが精いっぱいの毎日の中で、 相手を好きかどうかなんて、考えてる暇なんてなくない?  正直どうでもいいよ」 「でも、こんな気持ちで結婚生活続けるのは、よくないでしょ?  お互いにとっても、子供たちにとっても」 「だったらさ…… もう一度、恋したらいいんだよ」 __そんなの、どうやって…… そんな風に悩んだら…… 『もう一度 恋する方法』で、検索。 __「そんなの、塗り替えたらいいじゃん」 恋の足跡を辿って見つけたのは、 いつも優しくて、 穏やかな答えでした。 思い出の箱を開けた瞬間、 私の体内メトロノームが、 再びそのテンポを刻み始める。 私たちの恋は、時に甘く、時に切なく、時に苦しく、いつも優しい。 ~私の心が動くとき、いつもそばにいたのは、君でした~
きみに ひとめぼれ
梅桜楓/著

総文字数/100,899

恋愛(純愛)166ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
高校二年生の二学期 夏休み明け最初のテスト。 出席番号順に並んだ席で、 恋に落ちた。 『きみに ひとめぼれ』 だけどそれは、想像していた一目惚れとは なんだか少し、違っていました。 *・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。 「一目惚れから始まる恋って、成就すると思う?」 失恋したての一目惚れ女子 坂井さん × 「理由がないと、ダメなのかな?」 自分の直感に自信ありの空気男子 勝見君 *・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。 もどかしい両片想いの始まり *・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。 × ………… *・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。 きみの匂い、温もり、手の感触、空気感…… 初めての感覚に、息もできなくなる。 もっと知りたい。 もっと話したい。 もっと触れたい。 もっと…… 出席番号の狭間で交錯する想い。 交わる想いを紐解くと、切ない真実が顔を出す。 ・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。* <2020.10.13〉  おすすめ作品に掲載されました。 〈2022.2.2〉 加筆・修正しました。
旗をふれ!
梅桜楓/著

総文字数/23,263

青春・友情19ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
体育祭で応援団長になる。 それが、私の夢。 応援団は、私の憧れ。 ◇─◇─◇─◇─◇─◇─◇─◇─ 「女子に団長なんて無理だろ」 誰もが認める絶対的リーダー  紅組団長 一ノ瀬 拓海 (Ichinose Takumi) × 「女子だって、カッコよくなりたい時があるんだよ」 恥ずかしがり屋で引っ込み思案な 白組団長 吉川 楓  (Yoshikawa Kaede) ◇─◇─◇─◇─◇─◇─◇─◇─ 真逆な二人が、体育祭で闘志を燃やす。 「吉川さん見てるとさ、守ってあげたくなるんだよね」 「守ってほしいんじゃ、ないの」 「私は、戦いたいたいの。だってそっちの方が……」 __かっこいいから。 勝敗を分かつ、応援合戦、対抗リレー…… 優勝旗を手にするのはどちらのチームか。 君の応援で、前に進める。 さあ、 『旗をふれ!』

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop