シュガートリック




あれ……?日野くん、顔が……。


「……日野くん?」

「…っ、うるさい、こっち見んなよ」

「えぇ……?」


大きいため息をつきながら顔を隠すように下に向けた日野くんに、どうかしたのかなと思う。


「……でいい」

「え?」

「……春哉でいい、呼び方」

「……え……なんで?」

「……知らね」


唐突な日野くんからの言葉に、思わず聞き返してしまう。
すると、ぷいっと顔を背けてそう言う日野くん。


「……じゃあ、春哉くん?」

「……ん」

「……私女だけど、嫌じゃないの?」

「…っ、だから、花染は平気なんだって……俺もわかんねえよ」


私なんかに名前呼びされるの、嫌じゃないのかな?と思ってそう聞く。

すると、春哉くん自身も困惑したような声を発していて。

……少しは、仲良くなれたのかな。

最初は、体育祭実行委員なんて……!って思ってたけど……。
今は、春哉くんとの誤解が解けたからか少しは気が楽になったような気がした。





< 119 / 290 >

この作品をシェア

pagetop